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皮膚腫瘍とは
皮膚にはさまざまな腫瘍が生じます。皮膚の表面にできるものの代表は、イボやほくろですが、他にも粉瘤など毛根や皮脂腺から発生するもの、線維性、神経性のものなどがあります。また皮膚の下にできるものとして脂肪腫、ガングリオンなどの軟部腫瘍があります。発生する部位の違いの他に、皮膚腫瘍には良性、悪性という大事な判断を要します。
イボとは
イボは、皮膚から盛り上がった小さいでき物を指します。主な治療は、液体窒素や切除(保険診療)、炭酸ガスレーザーによる自費治療です。ウィルス性のもの、大きいもの、個数が少ないものに対しては保険診療による液体窒素や切除術がお勧めです。見える部位、小さいもの、多発性のものは炭酸ガスレーザー(自費診療)をおすすめしております。
イボにお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。
イボは、以下の種類に分類されます。
イボの種類
尋常性疣贅
(ウイルス性イボ)
尋常性疣贅とは、ヒト乳頭腫ウイルス感染によってイボができます。感染症のため、イボが急激にできて大きくなったり、他所に拡がったりします。ほとんどのイボは、形成されてから長期間存在し、次第に増えてきます。イボは放っておくと増えることがあるため、イボを見つけたら早めに治療を行うことをお勧めしております。
脂漏性角化症
(老人性イボ)
老化や紫外線が原因でできる、しみ(老人性色素斑)に併発して起こるイボです。紫外線を浴びやすい顔面に多くできますが、全身どこにでもできます。脂漏性角化症は、発生すると徐々に大きくなり、ほくろのように色が濃くなってきます。顔にできるとかなり目立つため、見た目が気になる方も多くいます。主な治療は、炭酸ガスレーザーによる治療を行います。治療後も傷痕を残さず、綺麗に治せます。完全に除去すれば、再発の可能性もないため、早期の治療をお勧めしております。顔面にできたイボは老けた印象を与えるため、治療することで外見的な若返りが実現できます。
老人性血管腫(赤イボ)
加齢に伴って現れる赤いイボを、老人性血管腫と言います。全身どこにでもできるイボで、異常に発生した血管によってできます。イボの形状は、平らなものや膨らみのあるものまで様々です。老人性血管腫の治療には、切除術や炭酸ガスレーザー治療を行います。
アクロコルドン
(軟性線維腫)
主に皮膚の柔らかい首に形成される1-2mm程度のイボです。その他、腋や鼠径部にもできます。アクロコルドンは柔らかいのが特徴で、加齢に伴って発症することが多くあります。特に、女性や肥満の傾向がある方に多く発症します。アクロコルドンが形成される原因は明確ではありませんが、体質が関与していると言われています。イボの形成し始めは平らな形状ですが、徐々にイボ状に盛り上がって皮膚にぶら下がった状態になります。アクロコルドンは誰にでも起こりうる加齢性の良性腫瘍のため、必ずしも治療の必要はありません。見た目が気になる方には、炭酸ガスレーザー(自費診療)による治療を行います。
稗粒腫
主に、目の周囲の顔によく現れるイボです。長さ1~2mmの円形の小さい白色イボです。体質が関与しているとし、できやすい体質の方には多発します。発生する部位が目の周囲のため、小さくても目立ってしまい、美容的に気になる方が多くいます。保険診療では針で皮膚を引っ掻き専用の機器で押し出す圧出法を行います(同日5箇所程度)が、一時的に赤みやかさぶたができますので向こう1~2週間、大切な予定がないときに施術をするのが良いでしょう。おすすめです。5個以上の多発の方や目の近くなどには炭酸ガスレーザーによる治療(自費診療、1個500円)を行います。レーザーで皮膚の表面を削り中の角質を取り除くため治療後の傷痕も目立たず、ダメージも少ないおすすめの方法です。
汗管腫
主に下まぶたに多発する小さな膨らみの集まりを指します。特に、女性に多く見られる症状です。皮膚のエクリン汗管が皮膚の深いところで増殖することで形成されます。病変が皮膚深部にあるため、治療は慎重に行う必要があります。皮膚深くまで削ってしまうと瘢痕化を起こすため、完全に除去することは難しいとされています。炭酸ガスレーザーによる焼灼治療(自費診療)を行います。目の下は目立つ部位のため、治療に際しては慎重に検討します。
ほくろとは
ほくろは、母斑細胞母斑または色素性母斑と呼ばれる母斑細胞の増殖性病変(皮膚腫瘍)です。ほくろには、先天性と後天性、また悪性と良性とがあります。ほくろの形状や状態によって、様々な種類があります。多くのほくろは5mm以下の大きさですが、急速に大きくなってきた場合や出血、色調に濃淡が出てきた場合は、悪性腫瘍の可能性が考えられますので、早急にご相談ください。
ほくろと間違われやすい皮膚がん
メラノーマ(悪性黒色腫)
メラノサイトががん化したものがメラノーマ(腫瘍)です。急に6mm以上に大きくなり、非対称の形状、境界が不明瞭な場合には、メラノーマの可能性があります。専門施設での早急な診断と加療(手術や薬物療法)が必要になります。
基底細胞がん
皮膚がんのひとつで、高齢者の顔面に多く皮膚の黒い小さな盛り上がりが少しずつ大きくなってきます。次第に盛り上がり中央部が凹んだり表面に拡張した血管が見えるようになったり、出血を起こすことがあります。見た目がほくろに似ているため、気になる場合は医療機関で診断してもらう必要があります。治療は外科的切除です。
治療について
皮膚腫瘍(イボ、ほくろを含む)の治療は、まず良性か悪性かの判断が重要になります。当院ではダーモスコピーと超音波検査を行い、悪性の可能性がないかどうかを診察します。 一般的に皮膚腫瘍は直径が6mm以上、少しづつ大きくなってきているもの、しこり、出血や違和感などの症状があるものは、手術で切除しその病理組織(良悪)を調べて診断を確定します。
できもののの部位、種類、大きさによっては、手術による切除よりも、液体窒素による治療(保険診療)やレーザー治療(自費診療)が向いていることもあります。
切除法は腫瘍を囲む紡錘形切開やくりぬき切除を行いますが、どうしても傷あとがもとの腫瘍直径より長く(2-3倍)なります。
当院では、治療方法はまず診察と検査(ダーモスコピーや超音波)にて悪性の可能性を評価し、その可能性が低いものに関しては、術後の傷あとのこと、通院回数、ご予算などをお聞きして決定いたします。
液体窒素療法
ウイルス性イボに最も有効な治療法で、他にも部位によっては、脂漏性角化症やアクロコドンにも使います。-196℃の液体窒素を当てて凍結させることで細胞を壊死させ脱落させます。
治療は2~4週間ごとに複数回行う必要があり、液体窒素で冷やした綿棒を患部に接触させるため、凍傷のような痛みが1~2日間伴います。(保険診療)
治療後は、特別な処置は不要で入浴も当日から問題ありません。通常は7~14日後にカサブタができて脱落します。水疱や発赤が生じることもありますが、触ると中のウィルスが散らされるので、ガーゼで保護しておきます。しばらくすると乾いてきて自然治癒します。また約9割の方で患部に接触面よりひと回り大きな炎症後色素沈着(しみ)が起きるとされており、顔面や手の甲などの露出部には向きません。他人の目に触れる部位(露出部)には炭酸ガスレーザー治療(自費診療)をおすすめします。